多くの方にとって重大な買い物となる自動車。
スタッフが対面でサービスを行うことが当たり前でもあったこの業界において、近年注目を集めているオンラインを絡めたサービス提供はどのような展開をみせているのでしょうか。
本記事では、実例も交えながら自動車業界における「オンライン接客」「遠隔接客」の現在についてご紹介していきます。
オンライン接客と遠隔接客は違う?
オンライン接客とは、チャットやビデオ通話などのオンラインツールを活用して行う接客対応のことです。「Web接客」と「遠隔接客」の2種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
Web接客は、お客様が主体のオンライン接客。予約を行った上で、自宅などの好きな場所から現地のスタッフとやり取りを行います。お客様の相談内容に適切な回答を用意しておく形のため、簡易的な接客になりやすいのが特徴です。
一方で遠隔接客は、店舗等を訪れたお客様に対して、現地にいるお客様の様子を見ながらスタッフが接客します。操作方法が分からない場合の対応や追加サービスの提案など、店頭スタッフと可能な限り同様の接客を目指すことが可能です。
目的によって最適なサービスは変わる
前述の通りWeb接客と遠隔接客では違いがあるため、どちらを用いるべきかは自社の目指す姿や目的に合わせて選択する必要があります。
Web接客は利用者に何某かのデバイスの操作を促すところから始まりますが、遠隔接客は興味を持たれたお客様への声掛けからニーズの聞き出しやコミュニケーションが始められます。
現地への移動を含めた負担を最小限に、費用や各種手続きに関する質問をより手軽に行いたいと考えたお客様がいた場合には、Web接客が有効と言えるでしょう。
一方、当然店舗へは車に興味のある方が来店されますが、その理由やニーズについての聞き取りを行った結果より具体的な検討を進めたいお客様と想定される場合や、現地店舗であることが価値につながるような状況においては、コミュニケーションの質が高い遠隔接客が適しているのではないでしょうか。
自動車業界の事例を紹介
仮に顧客との商談実施を目的とした場合、まずは商談に来ていただく状況を作らなければいけません。
関心はあっても店舗まで赴くのは・・・という人に対しては、Web接客活用の価値はあるでしょう。
トヨタ
引用:https://www.carsensor.net/lp/online/index.html
国内最大手のトヨタでは、2020年からオンライン商談のシステムを各販売店にて拡充しています。
もともとBMWがネット上で購入までが完了してしまうサービスを開始したのが先駆けでしたが、若者の利用が多かったということで世間の注目が集まっていました。コロナ禍という環境変化の中でこれを追いかけた形です。
オンラインならではの以下のような事柄がメリットになります。
・時間の制約がないことから平日の隙間時間にも利用できる
・画面越しではあるもののカメラを移動させて車の外観や内装も見せてもらえる
・もしここで車に魅力を感じて購入意欲が高まった場合には来店予約の受付も可能
売買契約に関してはオンライン上ではそもそも法的に不可能な面はあるものの、
これだけでいきなり購入まで決めるのは顧客心理から考えてもハードルが高いことや、詳細を自分の目で確認したいであろうことを考えると、来店を促進するためのプロモーション施策のような側面が強いと考えられます。
カーセンサー
引用:https://www.carsensor.net/lp/online/index.html
中古車業界でも同様のオンラインサービス事例はあります。
カーセンサーでもオンライン商談を行っており、対象の車両に対してオンライン商談の申請を行えば、日程が合うタイミングでビデオ通話の形で車に関して説明を受けることができます。
中古車では特に前の所有者の使用状況が気になる所なので、こういったサービスは嬉しいでしょう。
ただ、こちらについても
・現場に行かなければわからない匂いや重厚感、座り心地といった詳細は自分の目で確認したい
・これだけでいきなり購入まで決めるのはかなりハードルが高い
この点はどうしても超えられない壁のように感じられます。
ご紹介した以外の他大手メーカーでもこうしたオンライン商談の導入は進んでいます。
自動車業界における「オンライン接客」の現在
自動車業界においては、コロナ禍をきっかけに手軽なオンライン接客導入の動きが加速しているようです。
ただ同時に、Web接客だけでは超えられない大きな壁も感じられる結果となりました。
自動車購入の際の契約に関しては対面でしかできないため、どれだけオンラインで商談を進めてもお客様は一度来店することになりますし、顧客心理から考えても店舗での体験をもとにして購入検討は進むでしょう。
それを前提とすれば、店舗の価値を最大限活用しながらも接触を減らし、さらに新しいサービス提供をより効率的に接客を行う方法について並行して検討する必要があるのではないでしょうか。
時代のニーズに合わせ提供できる価値を増していくことも重要ですが、今後は何より体験を損なわない設計を重視し検討を進める必要がありそうです。
弊社では、そのような「体験を損なわない設計を重視した」導入のご相談もお受けしております。
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