アフターコロナの店舗展開として、無人化/省人化について検討を始められている企業は増えてきています。
しかし、有用なツールの情報をはじめ、実現に向けどのような準備が必要なのか、その成功事例についてはまだ広く知られていません。
そのため、店舗の無人化/省人化の実現に向けて、必要になるツール/サービス/社内体制について疑問を抱えている企業の店舗運営担当者、デジタル担当者、または経営者様も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方々に向けて、事例も交えつつ店舗無人化に必要なツール・体制についてご紹介します。
近年、急増中の無人店舗とは?
無人店舗とは
まず、無人店舗とはどのようなものでしょうか。
無人店舗と呼ばれる店舗は、大きくは「完全無人店舗」と、時間帯などを絞り無人化したり最小限の人員に絞る「省人化店舗」に分けられます。
本記事では、その両者をを含んだ広義の「無人店舗」についてご説明します。
世界で広がる無人店舗
無人店舗の事例としては、例えば国内ではこういった事例があります。
高輪ゲートウェイ駅Touch to Go

引用元: https://www.ssnp.co.jp/news/distribution/2020/03/2020-0319-1652-14.html
2020年3月14日開業となった東京、高輪ゲートウェイ駅内にオープンした「TOUCH TO GO」では、顧客は商品を取るだけでスキャンの必要なく、直接自分のバッグに商品を入れてもよい。天井に設置したカメラと店内の赤外線、商品棚に設置した重量計のデータを組み合わせ、誰が何を買ったのかをAI(人工知能)が判断する。
一方、国外では以下のような事例も。
「五芳齋(ウーファンジャイ)」の無人レストラン

引用元: https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/feature/00063/00008/?P=1
地域密着の生活情報をユーザーに提供するアリババの傘下企業、口碑(koubei)が協力し、五芳齋が既存の店をリニューアルして2018年1月に開業した、アリババの新小売戦略を体現する無人レストランの1号店。
店に入った客は自分のスマートフォンで、インストール済みの決済アプリ「支付宝(アリペイ)」をまず立ち上げ、テーブルに貼られたQRコードを読み込む。
その後、「今すぐ食べる」か「料理の出来上がる時間を指定する」、更に「店内で食べる」か「持ち帰る」を選択するフロー。
店舗無人化は実現可能な手段
上述の事例のような完全無人店舗は、言わば「最新テクノロジーがたくさん盛り込まれた」無人店舗で、導入初期から資金/技術力が必要です。
一方で、遠隔接客サービスや無人決済機などを組み合わせることで無人店舗を実現しようとする企業も多くいます。例えば、小規模店舗からの無人店舗化を実現しているのはこういった事例。
太秦弁当村

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000059684.html
コロナ禍で誕生した「太秦弁当村」を運営する株式会社京はやし(本社:京都市)は、2021年12月に4店舗目となる太秦弁当村桂店(京都市西京区)を開店。
日本初となる弁当屋での遠隔接客サービスシステムRURA(タイムリープ株式会社)を導入し、遠隔地から会計をサポートすることで、弁当・惣菜の無人販売/展開を実現。
複数拠点をサポートすることにより人件費の効率化に成功し、今後さらに複数拠点に導入することで、さらなる省人化を目指しています。
無人店舗のメリット
なぜこういった無人店舗の検討が広がっているのか、その理由は以下のようなメリットがあるためです。
人件費の削減
無人化が実現された場合、まず明確に変わってくるのは人件費です。
たとえば、時給¥1,000で24時間運営、常時2名体制の店舗において、人員を常時2名→1名に変更した場合には、20営業日で考えたとして単純計算で月に48万円(¥1,000*24h*20d=¥480,000)、年間にして576万円の違いが生まれます。
もし複数の店舗を運営していれば、当然その効率化の余白は店舗数分存在するわけです。
運営時間の拡大
店舗を無人化し、スタッフが実際の店舗に張り付く必要性がなくなる、また働く場所を選ぶ必要がなくなることで、今まで運営できなかった時間(早朝帯/深夜帯等)の営業拡大の検討が進めやすくなることも一つのメリットと捉えられています。
データの蓄積・活用開始の契機になる
最後に、これまで取得できていた簡易的な購買データに加えて、”接客自体”のデータや”店内行動”のデータ収集がより効率的かつ属人化せずに収集できようになるための店舗改革の契機にもなるということも、注目され始めています。
いきなりすべてのデータが手放しでも収集できるような完璧なデータ収集ツールを見つけることは困難だと思いますが、商品仕入れの最適化、接客の改善、店舗レイアウトの見直しなど様々な改善につなげることを目的とした取り組みの事例も少なくありません。
無人店舗の課題
では、逆に課題にはどんなものがあるでしょうか。
初期導入コストがかかる
コスト削減が目的の一つである以上、当然検討の土台に乗るのが導入/運用のコストです。
ここで言うコストには、サービスの利用料だけでなく、全体的な運用体制の設計、利用方法やメンテナンスの方法をスタッフに教育するためのコストなども含まれます。
よく聞かれる店舗改革の失敗理由として「運用体制の設計がうまくいかなかった。またはサービス提供者から協力を得られずやりたかったことが推進できなかった」というものがありますので、設計にも協力を行えるサービスを選定し、その上でしっかりとしすり合わせを行うべきでしょう。
機器の故障等不具合発生時の対応を考える必要がある
店内に設置されているすべての機器にいえることではありますが、災害や停電、システムのトラブル等によって運営ができなくなる可能性があることも懸念すべきことの一つです。
事業継続性に関わるこうした内容については、運営前に対応マニュアルを作成しておくことや、導入するツールのサポート体制を確認しておくことなどで事前対処が可能です。
現状把握、目的の切り分けが重要
業種業態によっては、どうしても完全無人では困難な業務も発生することがあります。
たとえば、商品の補充、対面による身分証の確認などです。
どこまでを自動化し、どこまでを人の手で行うべきかの切り分けを事前に行い、そのうえで目的に合わせたツールの検討を行うことが重要です。
無人店舗運営に必要なツール・体制
最後に、無人店舗をより具体的に検討するうえで、どんなツールや体制が必要になるのかについてご説明します。
インターネット回線
店舗無人化には遠隔接客サービスや決済サービスなどインターネット回線を必要とするものが多く存在するため必須です。さらに、トラブルの発生リスクを最小限にするために、その安定性についても確認されることをおすすめします。
決済サービス
商品もしくはサービスを販売する場合、決済サービスの導入が必須となります。
無人の決済機、もしくはQRコード決済の導入検討をおすすめします。
無人対応オペレーション
トラブル発生時の対応マニュアルやその際の対応オペレーションの構築も、店舗無人化を考える上で重要です。
サービスを受けることになる既存のお客様の体験を考えて、その点においても安心感のあるサービスや事業者を選択されることをおすすめします。
遠隔接客サービス
完全な無人化店舗を安定運用したいと考えた場合、最低限のリスク回避/サービス品質の担保のために、多くの場合に遠隔地からの有人サポート等が必要になります。
店内の機器や商品説明等の手段として遠隔接客サービスは有効です。
サービスによる差異はわかりやすい費用や機能の他にも様々あるため、しっかりとした比較をおすすめします。
遠隔接客サービスの比較にご興味があれば、以下の記事も併せてご覧ください。

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